死神クロ ~クロ誕生~
僕は死神だ。
名前はない。
僕は決められた存在を殺すだけの存在。
世界の歯車の一つでしかない。
だから、僕は自我を持ってはいけなかった、自分で考えるということをしてはいけなかった。
だって僕は死神だから。人を殺すだけの存在だから。
自我さえなかったら人を殺す重みをあじあわなくてすんだのに……
人が泣こうが喚こうが僕は殺してきた。そして、これからも殺しつづけていく……
今日も殺す為に下界へ降りていく。僕は殺すだけしかできないのだから。
[病院の一室]
そこには一人の少女がいた。彼女の名前は谷口春香。一年前に癌になり、今現在にいたる。一昨日手術をしたばかりだ。開いて閉じるだけの……
歳は十代半ばだろうが、体は痩せ細え、薬の副作用だろうか、髪は抜け落ちてしまっている。それが長い闘病生活を物語っている。
僕は彼女を殺すために彼女に近づく。コツ、コツ、僕は彼女のベットの横に立った時に彼女はこちらを向いた。彼女と眼が合う。彼女の体は弱りきっているはずなのに眼だけは澄んでいた。その眼は生きるんだといっていた。だけど、僕は彼女を殺す……
「あなた、誰。」
彼女は首を傾げ可愛らしい声で聞いてくる。
「僕は、死神だ。」
僕が死神だと告げても彼女の表情は変わることはなかった。
「私を殺しにきたの。」
「うん、僕は君を殺しに来た。」
彼女は、そう。っと言ってそっと眼を瞑った。彼女が眼を開け、もう一度僕と眼があったがその眼は澄んだままだった。何で彼女は絶望してないのだろう。自分がもう死ぬとわかっっているのに。第一、薬の副作用で死ぬほどの苦しみを味わっているというのに……
「君は死が恐くないの。」
僕はついそんなことを聞いていた、殺す存在である僕が。
「恐いよ、私はもっともっと生きたかった。おしゃれもしたいし彼氏も欲しかった。それにお父さん、お母さんが悲しむ姿を想像すると絶対死ねないっておもっちゃうよ。」
彼女は悲しげに微笑んでいた。死が恐くないわけないじゃないか、何故僕はこんなことを聞いたんだ。僕はどうしようもない存在だ。
「死神さん、泣かないで。」
「泣、く。」
僕はそういわれて初めて涙が頬を伝っている事に気づいた。僕は泣いているのか……殺すことしかできない僕が……
「ねえ、あなたのお名前は。」
「僕に名前はない。僕は殺すためだけの存在だから。」
「じゃああなたの名前は髪も眼も黒いからクロちゃんね。」
「ク・ロ。」
「そう、クロちゃん。」
彼女はそういって嬉しそうに笑った。僕は心の中でクロと呟いて見る。何故だろう、僕の無しかなかった中に温かいものが生まれた気がした。
「ねえ、クロちゃん。人が本当に死ぬ時っていうのはね、皆にその存在を忘れられた時なんだよ。だから、誰かが覚えていてくれたらずっと生きてるってことなんだよ、素敵だと思わない。」
彼女は美しかった。僕は初めて美しいと思った。殺すためだけの存在だと思っていた僕。だけど、僕にも出来ることはある。彼女がそう教えてくれた。
彼女の死ぬ時が刻一刻と迫って来る……
「僕は君のことを忘れないよ、僕の魂に君の存在を刻みつけるよ。」
僕は死神の鎌を作りだし大きく振りかぶる
「ありがとう。」
彼女は満面の笑みだった。とても綺麗だった。
斬
鎌が彼女の魂と肉体を切り離す。
彼女は死んだ。谷口春香、享年16歳。天界に彼女を連れて行く途中彼女の両親と医者が病室に入って行くのを見た。初めは泣いていた両親だけど、彼女のまるで眠っているかのような安らかな顔を見て、お休みと呟いていた。
僕はこれからも人を殺し続けるだろう。でも、それだけの存在じゃない。僕はこれから殺す人達の存在を魂に刻み続けていく。それが僕の使命だ。
僕の名はクロ。死神クロ。
名前はない。
僕は決められた存在を殺すだけの存在。
世界の歯車の一つでしかない。
だから、僕は自我を持ってはいけなかった、自分で考えるということをしてはいけなかった。
だって僕は死神だから。人を殺すだけの存在だから。
自我さえなかったら人を殺す重みをあじあわなくてすんだのに……
人が泣こうが喚こうが僕は殺してきた。そして、これからも殺しつづけていく……
今日も殺す為に下界へ降りていく。僕は殺すだけしかできないのだから。
[病院の一室]
そこには一人の少女がいた。彼女の名前は谷口春香。一年前に癌になり、今現在にいたる。一昨日手術をしたばかりだ。開いて閉じるだけの……
歳は十代半ばだろうが、体は痩せ細え、薬の副作用だろうか、髪は抜け落ちてしまっている。それが長い闘病生活を物語っている。
僕は彼女を殺すために彼女に近づく。コツ、コツ、僕は彼女のベットの横に立った時に彼女はこちらを向いた。彼女と眼が合う。彼女の体は弱りきっているはずなのに眼だけは澄んでいた。その眼は生きるんだといっていた。だけど、僕は彼女を殺す……
「あなた、誰。」
彼女は首を傾げ可愛らしい声で聞いてくる。
「僕は、死神だ。」
僕が死神だと告げても彼女の表情は変わることはなかった。
「私を殺しにきたの。」
「うん、僕は君を殺しに来た。」
彼女は、そう。っと言ってそっと眼を瞑った。彼女が眼を開け、もう一度僕と眼があったがその眼は澄んだままだった。何で彼女は絶望してないのだろう。自分がもう死ぬとわかっっているのに。第一、薬の副作用で死ぬほどの苦しみを味わっているというのに……
「君は死が恐くないの。」
僕はついそんなことを聞いていた、殺す存在である僕が。
「恐いよ、私はもっともっと生きたかった。おしゃれもしたいし彼氏も欲しかった。それにお父さん、お母さんが悲しむ姿を想像すると絶対死ねないっておもっちゃうよ。」
彼女は悲しげに微笑んでいた。死が恐くないわけないじゃないか、何故僕はこんなことを聞いたんだ。僕はどうしようもない存在だ。
「死神さん、泣かないで。」
「泣、く。」
僕はそういわれて初めて涙が頬を伝っている事に気づいた。僕は泣いているのか……殺すことしかできない僕が……
「ねえ、あなたのお名前は。」
「僕に名前はない。僕は殺すためだけの存在だから。」
「じゃああなたの名前は髪も眼も黒いからクロちゃんね。」
「ク・ロ。」
「そう、クロちゃん。」
彼女はそういって嬉しそうに笑った。僕は心の中でクロと呟いて見る。何故だろう、僕の無しかなかった中に温かいものが生まれた気がした。
「ねえ、クロちゃん。人が本当に死ぬ時っていうのはね、皆にその存在を忘れられた時なんだよ。だから、誰かが覚えていてくれたらずっと生きてるってことなんだよ、素敵だと思わない。」
彼女は美しかった。僕は初めて美しいと思った。殺すためだけの存在だと思っていた僕。だけど、僕にも出来ることはある。彼女がそう教えてくれた。
彼女の死ぬ時が刻一刻と迫って来る……
「僕は君のことを忘れないよ、僕の魂に君の存在を刻みつけるよ。」
僕は死神の鎌を作りだし大きく振りかぶる
「ありがとう。」
彼女は満面の笑みだった。とても綺麗だった。
斬
鎌が彼女の魂と肉体を切り離す。
彼女は死んだ。谷口春香、享年16歳。天界に彼女を連れて行く途中彼女の両親と医者が病室に入って行くのを見た。初めは泣いていた両親だけど、彼女のまるで眠っているかのような安らかな顔を見て、お休みと呟いていた。
僕はこれからも人を殺し続けるだろう。でも、それだけの存在じゃない。僕はこれから殺す人達の存在を魂に刻み続けていく。それが僕の使命だ。
僕の名はクロ。死神クロ。
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